公開日: 2024.11.06

戸籍証明書等の広域交付制度の活用

遺言・相続

1.広域交付制度の概要

令和6年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付制度がスタートしました。従来、戸籍証明書等を取得するためには、本籍地のある市区町村の窓口又は郵送で請求する必要がありましたが、同制度により、「どこでも」(本籍地が遠方にある場合でも最寄りの市区町村窓口で請求できます)、「まとめて」(取得したい戸籍の本籍地が全国各地に点在していても1か所の市区町村窓口でまとめて請求できます)請求することができるようになりました。同制度は、自己の現在戸籍を本籍地以外で取得しようとする場面や相続関係等を証明する必要がある場面での利用が想定されています。

2.戸籍証明書等を請求できる方

広域交付制度は誰でも利用できるわけではありません。請求者ご本人のほか、その配偶者、父母や祖父母などの直系尊属又は子や孫など直系卑属に限られます。兄弟姉妹の戸籍証明書等は請求できません。

3.広域交付制度の注意点

上記のとおり兄弟姉妹の戸籍証明書等が請求できないこと以外にもいくつか注意しておかなければならない点があります。市区町村の窓口にて請求する必要がある点(郵送請求はできません)、代理人による請求ができない点(弁護士や行政書士などの士業でも請求できません)、窓口での本人確認が厳格化されておりマイナンバーカードや運転免許証等の顔写真付き身分証明書の提示が必要となる点です。これら注意点のうち利便性向上の余地があるものについては、今後の法改正等による改善を期待したいと思います。

4.相続手続における活用

相続手続においてまず着手すべきことの一つは、相続人を確定するため、お亡くなりになられた方(被相続人)の出生時から死亡に至るまでの戸籍証明書等を取得することです。相続に関する諸手続については【保存版】相続手続チェックリストをご確認ください。相続業務をご依頼いただく場合も同様に、まずは被相続人の出生時から死亡に至るまでの戸籍証明書等を確認・取得することから始めます。ご依頼のケースによっては複数の市区町村を一つ一つ遡って郵送請求しなければならないことがあり、その場合は想定以上に時間と手間がかかります。ご依頼の段階で戸籍証明書等が揃っている場合は、その分だけ手続を省略できますので要する時間と費用を抑えることができます。お時間に余裕があり、最寄りの役所まで容易にアクセスできる場合は、広域交付制度を是非ご活用ください。

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